ひとり旅立つ少年よ

ひとり旅立つ少年よ
ボストン・テラン  原題は A Child Went Forth’ です。

詐欺師だった父親と詐欺を働いていた少年チャーリーが、償いのためひとり、旅をする物語です。
時代は奴隷制度を巡って世論が割れていたアメリカ、南北戦争が始まる直前、12歳のチャーリーがニューヨークからミズーリまでいろんな苦難を乗り越えて、そして多くのひとに助けられて旅します。

奴隷制度ってとてもいやな時代があったんですね!
あらためて人間の愚かさを感じる作品でもあります。

ボストン・テランは好きな作家です。
一番好きな作品は、もちろん「その犬の歩むところ」です。
多くの人が読んでみたらって言っています。

さて、「ひとり旅立つ少年よ」です。
物語にどんどん引き込まれて、寝る間を惜しんで読むって本ではありませんでした。
でもボストン・テランいろんなとこに”ぐっ”ってなるとこあります。
尊厳って言葉が使われているとこでは、しばし読むのをやめてジーン・ハックマンの映画、ミシシッピー・バーニングを思い出しました。
南北戦争の頃の映画ではありませんが、奴隷制度をまだ引きずっているミシシッピー州の話です。
確かぼくのブログにも書いたと思います。

たくさんこころに残った文章があったのですが、終わりの方に出てきた、
「ふたりのあいだに流れるこの静かで透明な時間をふたりだけのものにしたくて・・・」
この透明な時間って表現いいですね!

まぁ〜、ぜひ読んでくださいとは言いませんが、長旅の友にこの一冊をぐらいな感じで読んでみてください。

追記
ニューヨークからミズーリまでをグーグルさんで調べたら2643kmでした。