ぼくは病院でも早起きだった。

4時には目が覚めて5時までラジオを聞いた。
5時になると外は明るくなってくるので、もう起きてもいいだろう!って食堂へ向かった。

皆が食堂ってよぶから、食堂って書くけど、実際は椅子とテーブルがある休憩室のようなコロナ禍でなければ見舞客と患者が話す場だと思う。

もちろん、何かを注文して食べるとこではない。

そこには、お湯とお茶が出るサーバーがあり、そこでインスタントのコーヒーを飲むのが入院生活後半のぼくの日課になっていた。

外はだいぶ明るくなり、電気をつけるまではなく、備え付けのテレビを見ながらぼくはコーヒーを飲んだ。

そんな朝も看護師さんは働いていて、コーヒーを飲んでいるぼくに「電気つけましょうか?」って声をかけてくれるが、ぼくは、「いや!このままでいいです。まだ完全に朝になってないこの感じが好きなんです!」なんて似合わないことを言った。

若いほどではなくなったけど、ぼくは甘いものが好きである。
コーヒーを飲む時は甘いものがほしくなる。

なので、家内にチョコレートをもってきてもらい、目立たないように(わからないように)食堂で時々食べた。

その日も夜勤の看護師さんと、5時過ぎにおはようございますって挨拶を交わし、

こっそりとチョコを食べようとしていたら、

もうすっかり名前を覚えてしまった看護師さん!

ぼくの名前を呼んで、

「チョコを食べる前に、採血しましょうか!」って優しく言った。

食事制限があるわけではなかったので、チョコを食べても問題なかったけど、
チョコが見えないようにしていたので、ばつの悪さは少しあった。

優しい看護師さんは患者の行動をよくみているなぁ〜って思ってしまった。